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3DCGアニメーションワークショップ クリエイター体験講座AnimeJapan 2015

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AnimeJapan 2015で、3月22日(日)13:00に開催されたクリエイター体験講座、『トランスフォーマー プライム』『シドニアの騎士』のポリゴン・ピクチュアズによる3DCGアニメーションワークショップのレポートです。

登壇者はポリゴン・ピクチュアズの岡本稔さん。2Dアニメでは『天空の城ラピュタ』『宇宙船サジタリウス』に参画。3Dアニメでは『トランスフォーマー プライム』『トロン:ライジング』『シドニアの騎士』など数多くの作品に参画し、3DCGアニメーションスーパーバイザーとして活躍中。ポリゴンピクチャーズは、300人の社員を抱える国内最大手3Dアニメーション制作プロダクションです。

またもう一方、同じくポリゴン・ピクチュアズ人事総務部長の兼松厚さんが、聞き手として登壇されました。

(こちらは講座を聞かせていただいて抜粋・文章化させていただいたものです。なるべく正確に書いたつもりですが、聞き間違いや当方の認識のミスなどで、必ずしもトークしていただいた方の意図とは異なる内容になっている可能性もございます。その点はご了承ください)

まずは事前に課された課題に関しての説明から。

ビルの上で2人の男が対峙している(画面左側が男B(青)、右側が男A(赤)でスタートしてください)。2人がほぼ同時に走り出し、互いにパンチやキックを5発ほど受けたり避けたりする。男Aが右手で思い切り男Bの頬にパンチを食らわせる。吹っ飛んで転がる男B、ビルから落ちそうになる。男Aがダッシュし、すんでのところで男Bの腕を右手で掴む。命を助けることが出来たが、男Bは重く、男Aはその重みに耐えている。
という字コンテを、3Dアニメーション化すると言う課題でした。

ただ、課題発表から提出まで短期間であった事、またソフト的にもハード的にも、またボリューム的にもハードルが高い内容だったため、提出作品は2作品であったとのことです。ただどちらの作品も映像的/CG的に様々な事を考慮した上で制作されており、会場からも大きな拍手が送れらていました。

宿題に含まれている要素

まずは宿題に含まれている要素に関しての解説がありました。

キャラのポーズ

最初の対峙したシーンでは、キャラのポーズが重要。またトップカット(最初のカット)でもあることを考慮する必要もある。
どちらの足に重心をかけるのか、絵を描く感覚でポーズを考える、右足に重心がかかると右の腰が上がり、右の肩が下がる。

キャラの置かれている状況を考えてみる。リラックスしてるのか/緊張してるのか。
相手を凝視していると、体に力が入って頭が若干前に出るはず。

まずは自分でポーズをとってみる。

シルエットは大事。仮にキャラを一色に塗りつぶしてシルエット状になったとしても、それでも動きがわかるポーズであることが重要。パッと見で分かること。
体と腕が重なっていたりすると、一瞬では把握出来ない。

予備動作

「二人が同時に走り出す」の表現。観客の目を惹きつけるためにも、重要です。
物を投げるでもそうだけど、人間の動きには予備動作がある。振りかぶって/投げるという意識。
ここでも緩急のお話が。ゆっくり引いてから/早く動くことで、動きのメリハリ感が出せる。

走り

歩くと走る、はアニメにおいて一番重要な動作です。とても奥が深い。
動き出しよりも、足を蹴り出す瞬間の方が、一番スピードが乗る。

(歩き続ける動作をループにしたものを「ランサイクル」と言うらしい)

歩きは、キャラクターの特徴を表すのに非常に効果的な表現です。(例:女の人は腰を振り歩く。体重が重い人は左右にぶれるながら歩く)。心情も表現出来る。

使用するコマ数の例
歩き:1秒8コマ(2dアニメに近づける表現意図がある場合は、カクツキ感を残す表現)
走り:1秒12コマ(2dでも走りは12コマで描くことが多い)

タメ、ツメ

タメ、ツメは英語では、ease out,ease in。

タメをつくることで、緩急の表現。
ツメをつくることで、パンチを喰らってそれを受け止める側の衝撃を表現

力のベクトルとアクションラインの変化

アクションライン(デッサンの正中線とか体幹に、動きの方向性を加味したもののような感じのものでしょうか?円弧状の描き方をされてました)

ベクトルライン、パンチの腕の動き

アクションラインを一瞬で逆向きの円弧にすることで打撃の迫力が出せる。衝撃の大きさを表現するためには、だらだら変化してはダメ、一瞬で変える。

バウンド

落ちた後の、最初の一コマが重要。

一回バウンドするくらいで、あとは転がる形とかの方が、シリアス系にでは正しい表現かな。

重さの表現

落ちそうになる相手を掴んだ瞬間、掴んだキャラにも全体重がかかってくる。重力方向に重みを感じて引っ張られる。
強いベクトルの表現は、直線。左右にぶれてたりすると、その重さが表現できない。

CGの表現等に関して

・strech/squash
人間は筋肉の動き等で、実際の長さが伸びたりするが、CGモデルではそういうことが無い。
そこで意図的に、モデルのパーツを伸ばしたり縮めたりすることがある。

・歩く動作をCGでつくると、接地の演算処理で勝手に膝が延びてしまうことがある。そこは注意が必要。

・2Dだと、動きの残像感で、ボーンが曲がることで適切に見えることがある。
3Dだとモデルは真っ直ぐなままなので、シーンによっては意図的に湾曲させて、残像感を表現することがある。

・スケール、遠近感パース
映像表現として、力強さを出すためにパース(遠近感)をつけることがあるが、CGでパースをつけすぎると、顔も歪んでしまいよろしくない。
そこで、意図的にカメラの前に持ってきた手を(実際の大きさよりも)大きくしたり、遠方のものを小さくすることなどを、多用している。

・CGという世界の中で、2dのアニメのテクニックも盛り込みつつ、演出的な意図を込めた「上手な嘘」をつく

アニメーションを付け始める前にやっておきたいこと

サムネイル

どんな動きなのか、ラフを描いてみる。これは自分にだけ分かるような描き方でも可。

リファレンスムービー

実際に人が動いている様を実写し、その動画を参考にする。
注意点としては、キーをつけるフレームが多くなりがち。キーフレーム厳選することが大切

アクリルボード

透明のアクリルボードをモニタにはりつけて、そこに描く。速い、安いで便利。

ポーズトウポーズ

絵を描いて計画を立てて進めて行くこと

ストレートヘッド

通常の制作では、予定を組んで進めて行くのだが、即興的に進めていくことで、面白い物が出来る可能性がある。但しリテイクが難しいので、お勧めできないw。

アニメーターとしての注意点

作品のテイストを理解する

ディレクターの求めているものを作る。これが基本。

コンテを読み解く

担当シーンだけでなく、一話全部のコンテを読む。

全体のを把握することで、力を入れるべきカットが分かってくる。そして、それぞれのカットで、なにを表現するのかを考える。

退屈なアニメーションにしない

同じリズム/同じ量で動いてしまうと、例えどんなに動いていても、印象が薄くなる。
動きのメリハリ/緩急をつけることの重要性。

プレスコ

声優さんの肉声、演技に引っ張られるので、面白い。

運動曲線を意識する

歩きや走りの動きでは、(横から見た時の踵の位置は)弧を描いた動きになる。
走りだと、足の蹴り上げの高さが高くなる。

フォロースルーと、オーバーラッピング

人間は腰から動き、重心移動があって、足が動き、各部が動き、最後に髪がついてくる。

質疑応答

Q:動きを付ける順番について
A:大まかなポーズ、各部分、各パーツ、フェイスの順に付けて行く

Q:ロボット等の巨大物を大きく見せるにはどうしたら良いか?
A:コマを増やす、ジャンプしての地面への接地時の衝撃、タメ/ツメをさらに強調する、等。

Q:タメ/ツメの感覚を磨くにはどうしたら?
A:いいアニメーションを見ることかな。ここで何フレーム使ってるな、とか研究してみる。

Q:3dアニメの利点
A:カメラを自由に大胆にグルグル動かせること。

総括

3Dアニメーションは技術に対する知識が重要に思われがちですけど、映像やアニメーションに対する深い知識と、人間の動きに対する興味を持つ事の方が、遥かに重要なことであると教えていただいた講座であったと思います。一時間半の短い時間ではありましたが、非常に濃密な内容でした。ありがとうございました。

最後に岡本さんが言われた事を記載させていただきます。
「CGアニメーションは、制作したアニメーターの個性が出ないとも思われがちだけど、意外と個性は出てしまう。奥深くて面白い世界なので、もし興味があるなら、アニメーションの力を信じて、飛び込んできてください」

http://www.anime-japan.jp/main/creator/
2015年3月22日(日)13:00
Program2
『トランスフォーマー プライム』『シドニアの騎士』のポリゴン・ピクチュアズによる3DCGアニメーションワークショップ (13:00~14:30)
ジャンル 3DCGアニメーション
登壇者 岡本 稔
登壇者プロフィール アニメーターとして、『天空の城ラピュタ』『宇宙船サジタリウス』など2Dアニメーション作品に参画。
1997年ポリゴン・ピクチュアズ入社。
『トランスフォーマー プライム』『トロン:ライジング』など数多くの作品に参画し、3DCGアニメーションスーパーバイザーとして活躍中。
内容 字コンテをもとに作成・提出していただく3DCGショートアニメを、業界の第一線で活躍するポリゴン・ピクチュアズの岡本稔さんに直接講評していただける実戦形式のワークショップです。3DCGの実際の仕事としてのアニメーションの進め方など、実践的なアドバイスが満載。
ハードルは高いですが我こそはと思う方、3DCGアニメならではのアニメーション術を学びたい方はぜひ参加して下さい!
宿題 以下の字コンテをもとに、アニメーションを作成してください。
—–
ビルの上で2人の男が対峙している(画面左側が男B(青)、右側が男A(赤)でスタートしてください)
2人がほぼ同時に走り出し、互いにパンチやキックを5発ほど受けたり避けたりする
男Aが右手で思い切り男Bの頬にパンチを食らわせる
吹っ飛んで転がる男B、ビルから落ちそうになる
男Aがダッシュし、すんでのところで男Bの腕を右手で掴む
命を助けることが出来たが、男Bは重く、男Aはその重みに耐えている
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<ルール>
■モデル
・男A(赤) モデル:man_red
・男B(青) モデル:man_blue
ビルは各人でご用意ください(プリミティブな形状で構いません)
男とビルのサイズ感は、右図を参照。
■画角:960×540(16:9)
■提出形式:QT
■フレームレート:30f
■総尺:15秒以内
■カット数:10カット以内

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